往年の作品の続編から読み解く『ブレードランナー流』の続編学

先日、私は幸運な事に『ブレードランナー2049』の来日記者会見に出席する事ができた。
周囲を見渡すと100人近くの取材陣がカメラを構え、今か今かと監督とキャストの登壇を待ち構えていた。
伝説的作品の続編ということもあり、この作品の注目度の高さが伺える。

そして、定刻を向かえ、遂に監督とキャストが登場。眩いばかりのフラッシュがたかれ、緊張感と興奮が場内を包んだ。作品のことや、プライベートなことまで様々な質問が飛び交う中、私の番が回ってきた。

“前作公開当時生まれてない若者がこの作品に触れると思うが、その人たちに向けてメッセージを”

この投げかけに対し、偉大なる前作の続編という重すぎる課題を背負った監督と、登壇者の中で唯一前作から出演しているハリソン・フォードは
彼らの視点から様々な意見を述べたが、その中から印象的なフレーズを抜き出してみた。

監督「今作はこれだけ見ても、十分分かるように意図して作られているが、ぜひとも前作に触れて頂きたい。

ハリソン・フォード「前作を見るともっと大きな織物が見られる。本作でも楽しめるように作られているが、前作を見るとちょっと違った経験もできる。」

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王道でありながら、異端。それが、ブレードランナー

『ブレードランナー』は 斬新な世界観や哲学的なテーマに目が行きがちだが、本質は刑事物である。
(タイトルの”ブレードランナー”は主人公たちが属する刑事課の通称)

SFという舞台装置を借りながらも、物語の筋は刑事の目線から殺人事件の謎を解き明かす言わば”未来派フィルムノワール”なのである。

現代の視点で見ると、SFという舞台装置を借りて他のジャンルの作品をミックスさせる手法は王道ではあるが当時としては非常に異端な制作スタイルであった。

監督はこうも語っていた。
「SFは戦争ものが多いが、本作はミステリーであり、刑事物でもある。
 謎解きを通して人の感情を刺激する。」と。

監督やハリソンが語る「今作だけでも楽しめる」といった意味は、『謎解きのゾクゾク感を楽しめる』という意味に他ならないのである。

刑事物から、歴史絵巻に。現代の続編として昇華した『ブレードランナー2049』

近年『スターウォーズ』や『ジュラシック・パーク』など往年の作品の続編が増加傾向にある。
一昔前であれば、都市伝説や定期的に浮上する根も葉もない噂レベルでしかなかった作品が実際に現実世界で上映される。

映画ファンからすると、こんなに幸せなことはない。

しかし、冷静に考えると、現代の若者から見るとこれらの作品は自分たちが生まれる前の作品。
いわば、”古典”とも言っても過言ではない。
(とある作品の登場キャラの「『帝国の逆襲』って超古い映画って知ってる!?」という台詞はなかなか衝撃的だった…。)

ここで私見ではあるが、近年の作品の続編の傾向をまとめてみた。

  1. タイトルにナンバリングを付与しない。
  2. 基本的に単独作として見ても楽しめる様に留意。
  3. 作中で大きな時間経過が存在する。
  4. 前作のキャストを起用。
  5. 前作には無かったバックグラウンドの設定が充実。

どの作品を見ても上記の流れは必ず汲んでいるのが見て取れる。
特に①~③は前作を見てない世代には特に重要なファクターである。

『ブレードランナー2049』も例に漏れず、まさに前述したとおり単独作として確立させる為にあらゆる配慮がなされている。

しかし、往年のファンへの目配せを忘れているわけではない。
前作を知っている人であれば、ニヤリとさせるシーンがたくさんある
(個人的には“とある音楽”が流れた事で、作中のKの役割がスッと理解できた)

こういった制作者の努力の甲斐もあり、若い世代も、往年のファンもが楽しめる作品として本作は昇華したのだ。
本作を以って、前作が大きな時間の流れの1つとなり、新たな『ブレードランナー史』が形成されたのである。

昨今の続編の大きな時流を理解した上で『ブレードランナー2049』を見るとより楽しめると思う。


映画『ブレードランナー 2049』は2017年10月27日より公開。Huluでは、第一作『ブレードランナー』のオリジナル版(字幕/吹替)、ディレクターズカット/最終版(字幕)、ファイナル·カット版(字幕/吹替)を配信中。さらに“2022年”に起こった大停電を描いた短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト2022』と、9月27日(水)に開催された渡辺監督登壇イベントの模様も配信中だ。

『ブレードランナー』配信情報

『ブレードランナー』

オリジナル版(字幕/吹替)
ディレクターズカット/最終版(字幕)
ファイナル·カット版(字幕/吹替)
※権利上の都合により、一部字幕版と吹替版のバージョンが異なります。
URL : https://www.happyon.jp/blade-runner

『ブレードランナー 2049』 

予告編 配信中
URL : https://www.happyon.jp/blade-runner-2049

『ブレードランナー ブラックアウト2022』 

URL : https://www.happyon.jp/blade-runner-2049

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(この記事の筆者:ゴキオモ様)