【予習】『ブレードランナー2049』を堪能せよ!空白の30年を埋める年表、伝説の前作3バージョンを大解説

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2017年10月27日、ついに公開を迎える『ブレードランナー2049』。本作は、1982年に公開された伝説のSF映画『ブレードランナー』の衝撃のその後を描く続編となるが、実はまだ前作をご覧になったことがないという方も多いのでは。

Huluでは、『ブレードランナー』伝説の3バージョンを配信中。今回は、『ブレードランナー』をこよなく愛する映画ファンのテツさんえむえすさん、そして映画アドバイザーのミヤザキタケルさんの御三方をお迎えして、初めての方へ向けて『ブレードランナー』をたっぷり語って頂いた。この記事と共に最新作までの物語の流れをチェックしておけば、『2049』を100%堪能できるハズだ。35年ぶりに帰ってきたブレードランナーを味わい尽くそう。

『ブレードランナー』の魅力って?

えむえすさん:『ブレードランナー』は、何度観ても新しい発見がある作品です。何年経っても、全く色あせない。この前後のSF映画は『2001年宇宙の旅』だったり『スター・ウォーズ』だったり、どちらかと言えばクリーンな世界観が多かった。ところが『ブレードランナー』は暗いディストピア的な世界なんです。SF映画の特撮でここまで芸術的なものが描けるというのが魅力でした。

テツさん:造形がすごい。よーく観ると、背景に映るわずかな小物も細かく作り込まれているんです。ガジェット好きには堪らない。一時停止しながら何度でも観たくなるのが魅力
それから当時『ポスト・モダン』『サイバー・パンク』と呼ばれたような独特の世界観が、今観ると逆に新鮮。変な日本語とか(笑)、味があってカッコいい。大人になって東京の夜の街を歩くと、”あ、この景色ブレードランナーっぽい”って気付いたり(笑)。

ミヤザキタケルさん

ミヤザキタケルさん:僕は、主人公のデッカードがレプリカントなのかどうなのか、それを示唆するユニコーンの謎のシーンに引き込まれました。このシーンを考えながら観ると、色々な考察ができるんです。

ブレードランナー初心者でも大丈夫!
3バージョン、どれを観ればいいの?

実は『ブレードランナー』には、5つの異なるバージョンが存在している。Huluでは、そのうちの主となる3バージョンを配信中。オリジナル版、ディレクターズカット/最終盤、ファイナル・カット版、どれを観るべきなのだろうか?

テツさん:オリジナル版は、その名の通り1982年当時の劇場で公開されたオリジナルのもの。このバージョンは一番わかりやすいんです。デッカードの心情が全部ボイスオーバーで語られている。でも、人によってはちょっと余計に感じるかも。特にラストのボイスオーバーは今観るとちょっと安っぽく感じられるかもしれない。

えむえすさん:ボイスオーバーで語ってくれるオリジナル版は物語に入りやすいかも。しかも、ストーリの根幹だけが組み込まれていて、アートっぽいシーンはカットされていますからね。

テツさん:僕が昔初めて観たのはディレクターズカット版/最終版で、ちょっと難しく感じました。

ミヤザキタケルさん:ラストシーンも少し異なっている。オリジナル版のほうがハッピーエンド寄りなんですよね。

えむえすさん:ディレクターズカット/最終版から、2007年に細かい調整を加えたのがファイナル・カット版。ハリソン・フォードの息子さんがデッカードを演じたシーンが追加になっていたりするんです。

ミヤザキタケルさん:僕は映像のクオリティも一番素晴らしい『ファイナル・カット版』をオススメしたい。『ブレードランナー』の世界と謎を理解する上で重要な“ユニコーンの夢”もファイナル・カット版には含まれているし。これを押さえておけば、『ブレードランナー2049』もしっかり楽しめると思う。“デッカードとは何者なのか?”ということを意識しながら観ておけばバッチリ。

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オリジナル版

1982年にアメリカで初めて上映された際のバージョンだ。哲学的なシーンをあえて削り、観客にわかりやすいように仕上げられた。ハリソン・フォード演じるデッカードの心情がボイスオーバーで語られている点や、エンッでィングがハッピーエンドとなっている点が特徴。

オリジナル版を観る

ディレクターズカット/最終版

1992年に公開10周年を記念して再編集されたバージョン。オリジナル版ではカットされていたリドリー・スコットこだわりのシーンを追加した、監督の意図が反映したバージョンとなっている。オリジナル版との違いを見比べるのも楽しい。

ディレクターズカット版/最終版を観る

ファイナル・カット版

オリジナル版劇場公開25周年を記念して、監督のリドリー・スコットが2007年に再度編集した、現状で最も新しいバージョンがこちら。デジタル修正も施された美麗映像は、『ブレードランナー』の先進的な映像世界とあいまって最新映画と見まごう品質だ。

ファイナル・カット版を観る

『ブレードランナー2049』につながる!短編映像は必ずチェック

『ブレードランナー2049』は、前作から30年後の世界を描く。謎も残った前作からの空白の30年、世界では何があったのだろう?

押さえておきたいポイントはふたつ。ひとつは2022年に発生した大停電だ。これにより電子データがほとんど消失し、誰がレプリカントなのか判別不能になってしまった。

そしてもうひとつは科学者ウォレスの台頭だ。ウォレス社を率いるこの謎多き男が、『ブレードランナー2049』でも重要な存在となる。

空白の30年の中から、それぞれ2022年、2036年、2048年に起こった出来事を描いた短編作品もHuluで配信中。最新作を観る前にチェックしておこう。ここでは、2049年までに至る出来事を記した年表「Road to 2049」と併せて短編を紹介したい。

2018

異星の植民地におけるネクサス6型の戦闘団による反抗後、レプリカントは地球において死刑に値する違法の存在であると宣言された。

2019

試作品のレプリカントであるレイチェルと”ブレードランナー”捜査官リックデカードは共にロサンゼルスから逃亡。

2020

創設者であるエルドン・タイレル氏の死去後、タイレル社はネクサス8型のレプリカントを流通させるべく開発を急ぐ。4年の寿命しか持たないこれまでのネクサス・モデルとは違い、ネクサス8型は制約のない寿命を持ち、簡単に識別できるように眼球移植をされている。

2022 『ブレードランナー ブラックアウト 2022』

西海岸で原因不明の爆発が起こる。街は数週間に渡り、閉鎖された。アメリカ国内の電子的なデータはほとんど破損し、破壊された。財政や市場は世界的に停止し、食物の供給は切迫。停電の原因についての見解が広がるが、どれも証明されていない。世の大半はレプリカントが原因と非難した。

『ブレードランナー ブラックアウト2022』を観る

2023

レプリカント禁止法が発令。統治権力者はレプリカント製造を無期限的に”禁止”する法律を制定。4年の寿命しか持たないネクサス6型モデルは全て退役となる。生き残ったネクサス8型は解任されることとなる。すなわち、彼らは逃亡の危険性がある。

2025

理想主義的な科学者ニアンダー・ウォレスは、遺伝子組み換え食物を開発し、その技術を無償で提供、世界的な食糧危機を終焉させた。彼の会社、ウォレス社は世界的に進出──そして異星の植民地へもその力を広げる。

2028

ニアンダー・ウォレスは倒産したタイレル社の負債を買い取る。

2030年代

ニアンダー・ウォレスはタイレル社の遺伝子工学と記憶移植の方法を強化し、レプリカントを従属的かつ制御可能にするために研究を進める。

2036:ネクサス・ドーン

禁止法が廃止となる。ウォレスは新型の”完成された”レプリカント──ネクサス9を発表する。

『2036:ネクサス・ドーン』を観る

2040年代初期

LAPDは既存のブレードランナー組織を強化。違法のレプリカントを探し出し、解任する役目を負う。

2048:ノーウェア・トゥ・ラン

2040年代、人間になりきれないレプリカント、サッパーの姿を描く。

『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』を観る

そして、舞台は『ブレードランナー2049』へ─

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前作から30年後のロサンゼルス。気候変動により海抜が劇的に上がる。巨大な海壁がSepulveda Pass沿いに建設され、ロサンゼルスの流域を保護している。ロサンゼルスは以前にも増して居住不可能となり、貧困と病気が蔓延している。異星の植民地への移住ができない不健康な人間たちが取り残されている。新鮮な食物はなく、居住者たちは道端の自動販売機で販売されている、ウォレス社の遺伝子組換え食物によって生きながらえている。

デッカードがこつ然と姿を消してから30年。キャッチコピーである“知る覚悟はあるか―”という言葉が物語るように、本作では知られざる”封印された真実>”が明かされることになる。今なお色あせることなく、映画界と世界中のカルチャーを魅了し続けてい る「ブレードランナー」。『ブレードランナー 2049』で描かれる 30 年後の世界は、その圧倒的な映像美をよりパワフルに引き継ぎ、 ベールに包まれ多くの謎を抱えながらも、新たな映画新時代の幕開けを感じずにはいられない。

テツさん、えむえすさん、ミヤザキタケルさんは、『ブレードランナー2049』は初心者でも楽しめる作品だと太鼓判を押す。ただし、前作の予習/復習は行っておくべきだということだ。

テツさん:前作を観ていない人も是非観て欲しいんですけどね。とにかく『ブレードランナー2049』の映像と音に酔いしれてほしい。芸術的ですごく綺麗なので、IMAXでもう数回見直したいくらいです。

えむえすさん:新作のキャッチコピーは“知る覚悟はあるか──”、我々観客に、前作の謎の事実を突きつけてきていますよね。僕は前作も大ファンなので、新作も前のめりになりながら観ました。

ミヤザキタケルさん:『ブレードランナー』前作は、我々の世界にも目前に迫る2019年が舞台。でも、映画が公開されたのは1983年。それなのに、いずれ人類が直面するであろう問題を当時から描いていたというのがシンプルに凄いんです。それから、伏線が多いというのも魅力ですね。物語の謎をあれこれ考えるのが楽しいし、新作ではその答えが得られるので、前作と一緒に是非楽しんで下さい。

映画『ブレードランナー2049』は10月27日(金) 全国ロードショー。

『ブレードランナー2049』映画公式サイト

ブレードランナーはhuluで!

※この記事にご協力いただいた皆様

ミヤザキタケルさん:映画アドバイザー/ライターとして幅広く活躍。Instagramのフォロワーは1万2,900人を超え(2017年10月現在)、等身大の言葉で語る映画評が支持を集めている。Instagram

テツさん:SF映画とCYBERJAPANをこよなく愛する30代会社員。

えむえすさん:『ブレードランナー』の大ファン。今を生きる特撮オタク。