“彼”はなぜピーターのもとに駆けつけたのか?『スパイダーマン™3』エディターズ・カットから改めて読み解く「許し」のテーマ

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ホラーの巨匠サム・ライミがメガホンをとり、トビー・マグワイアが主人公ピーター・パーカー(=スパイダーマン)を演じた『スパイダーマン™』3部作。その3作目にあたる『スパイダーマン™ 3』の公開から、今年でなんと10周年を迎える。この記念すべき年に、先月ソニー・ピクチャーズ エンタテイメントから、『スパイダーマン™』 トリロジー ブルーレイ コンプリートBOX [Blu-ray]が発売された。
このBOXには、サム・ライミ版トリロジー(3部作)本編と合計10時間以上の特典映像に加え、トリロジーの編集を手がけ、オスカー受賞歴もある編集担当者ボブ・ムラウスキーによって再編集された『スパイダーマン™ 3』エディターズ・カットが収録されている。

トリロジーのファンの中でも賛否が割れやすい『スパイダーマン™3』であるが、今回のエディターズ・カット版で削除・追加されたシーンの中でも、筆者が特に気になったある変更点にフォーカスし、『スパイダーマン™ 3』の魅力を今一度読み解きたい。

注意:この記事には、『スパイダーマン™3』および『スパイダーマン™ 3エディターズ・カット』に関するネタバレ内容が含まれています。

ハリーはなぜピーターのもとに助けに駆けつけたのか?

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物語のクライマックス・バトル、巨大化したサンドマンと強敵ヴェノムにスーツがボロボロになるほど追い詰められるピーター・パーカー(=スパイダーマン)。サンドマンが最後の一撃と言わんばかりに拳を振り上げ、誰もがもうダメだと目を覆ったその瞬間、突如投げ込まれた「パンプキン・ボム」の大爆発に怯むサンドマン。サーチライトに照らされ颯爽とグライダーを駆り現れたのは、ゴブリンのスーツに身を包んだハリー・オズボーンだった。

3部作屈指の名場面といえるこのシーン、もちろんエディターズ・カット版でもその感動を味わえることに変わりはないのだが、ハリーがピーターを助けに現れた「理由」が、通常版とエディターズ・カット版では少々異なってくる。

クライマックス・バトルの直前、マンションまで助けを求めに来たピーターに、ハリーが「You don’t deserve my help.(お前は俺が力を貸すに値しない)」と言い放ち、追い返すシーン。その直後のシーンが、通常版とエディターズ・カット版では変更されている。

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通常版

通常版では、ハリーがピーターを追い返した後、ゴブリンのブレードを手に取り立ち尽くしているところで、オズボーン家の執事バーナードから父ノーマンの死の真相を告げられる。このシーンを、「親友への復讐心に取り憑かれていたハリーの誤解がついに解かれた!」と素直に受けとるか、はたまた「バーナード、そういうの全部知っていたならもっと早く教えてあげんかい!」とツッコミを入れるのかは観客の自由であるが、少なくとも、ここではハリーは「第三者の言葉を受けて」心を動かされ、最後には親友を助けに行くことを決意するのである。

エディターズ・カット版

一方エディターズ・カット版では、上述のバーナードのシーンは丸々カットされ、以下のシーンに差し替えられている。ピーターを追い返したハリーが手に取るのは、ゴブリンのブレードではなく一枚の写真立て。表面のガラスにはヒビが入っているが、そこには仲良く肩を組み微笑むハリー、ピーターとMJ、いつもの3人組の姿が写っていた。写真を見つめ、悲しげな表情を浮かべるハリー。ここでシーンは次の場面に移る。

私がわざわざ語らずとも、シリーズのファンであればこの変更が何を意図し、そしてどれほどの意味を持つものであるのか、直感的に理解できるのではないだろうか。

3部作を通して描かれた友情の結末

『スパイダーマン™ 3』という作品最大のテーマが「許し」であることは、監督やキャストがたびたび公言しており、多くのファンの知るところである。

事実、本作ではピーターからフリント・マルコ=サンドマンへの「許し」、MJからピーターへの「許し」といった、様々な登場人物の関係の中で「許し」が描かれる。

その点、上述のエディターズ・カットの変更では、ハリーがピーターをなぜ「許し」たのか、という点で異なる解釈ができる。

通常版とは異なり、ハリーにとってピーターは依然として父の死の責任を負うべき相手である上に、愛する女性を奪った憎き恋敵でもある。そんな相手への復讐心や嫉妬心を超えて、自分が真に求めるものは何なのか、在りし日の写真を手に取ったハリーは思い出したのではないだろうか。彼はきっと、ピーターとMJと3人で過ごしたあの時、たしかにそこにあった「友情」を取り戻したいと願ったからこそ、ピーターを許し、絶体絶命の友のもとに駆けつけたのである。

思えばサム・ライミ版『スパイダーマン™』3部作は、ピーター、ハリー、MJの3人の関係が常に物語の中心に据えられていた。どれだけ過ちを犯し、互いに傷つけ合っても消えることなのない強い絆が、3人の間にはあった。ハリーは、命と引き換えにその絆を守り抜く道を、自らの意思で「選択」したのである。

サム・ライミ版『スパイダーマン™』3部作は、『スパイダーマン™ 3』最後の台詞、ハリーの葬儀でのピーターのモノローグで以下のように締めくくられる。

It’s the choices that make us who we are, and we can always choose to do what’s right.
「どの道を選ぶかでその人が決まる。そして正しい道は必ず見つけることができる」

このように上記を知った上で、改めて『スパイダーマン™』3部作を観返すと、他にも新たな発見があるかもしれない。そういった楽しみ方もまた、『スパイダーマン™』シリーズの楽しみ方である。

また、今回はあくまで、エディターズ・カット版を例にしたが、この他にも、『スパイダーマン』シリーズには様々ないわゆる”小ネタ”が隠されている。今後もぜひ、二度目、三度目はそういった楽しみ方も試してみて欲しい。

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サム・ライミ版『スパイダーマン™』3部作、『アメイジング・スパイダーマン™』は、Huluにて配信中!今すぐチェック!(※Huluでの配信は通常版のみ)

日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」にて、「アメイジング・スパイダーマン2™」が8/25に放送決定!そちらにあわせて、キャンペーンも実施されている。この機会にぜひ、チェックしてほしい。

https://kinro.jointv.jp/am-spider2/

今回の記事で触れたような心の葛藤など心理的な面にもぜひ注目してほしい。

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